三菱パジェロエボリューション。その名は、パリ・ダカールラリー制覇という壮大な目標と、三菱自動車の技術的野心の結晶として、自動車史に深く刻まれています。1997年に登場したこのモデルは、単なる市販車ではなく、過酷なラリーを戦い抜くためのホモロゲーションモデルでありながら、日常での快適性も兼ね備えた特別な存在でした。
パリダカ制覇のために生まれたデザイン
パジェロエボリューションのボディワークは、勝利至上主義に基づき、一切の妥協を排して設計されました。一見すると派手に見えるデザインも、すべてが機能に基づいたものであり、無駄な装飾は一切ありません。エアロダイナミクスを追求したサイドストップ一体型エアダムスカート、高速域でのダウンフォース強化を狙った大型フィン付きリアスポイラー、冷却性能を向上させるエアインテーク付きアルミ製ボンネットなど、そのすべてがラリーでの勝利を追求した結果なのです。
機能美が光るエクステリア
ワイドトレッド化を実現するためのオーバーフェンダー、専用デザインのフォグランプを埋め込んだ大型フロントバンパー、悪路走破性を高めるアンダーガードなど、パジェロエボリューションのエクステリアは、機能美という言葉がふさわしい迫力に満ちています。美しさだけを追求したデザインとは一線を画し、その存在感は数ある競技ベース車の中でも群を抜いています。
快適性も追求したインテリア
インテリアは、ベースモデルであるZR-Sのデザインを踏襲しつつ、カーボン調パネルや本革巻きステアリングを採用することで、スポーティな雰囲気を演出しています。特に注目すべきは、サイドサポート性に優れたレカロシートです。実際に座ってみると、そのフィット感は抜群で、長時間のドライブでも疲れを感じさせません。競技ベース車でありながら、快適性も犠牲にしていない点が、パジェロエボリューションの魅力の一つです。
ランエボへと繋がる血統
パジェロエボリューションは、三菱自動車が誇る「エボリューション」モデルの一つであり、その血統はランサーエボリューションへと受け継がれています。三菱自動車のラリーへの情熱と技術力が凝縮されたパジェロエボリューションは、日本の自動車史における貴重な一台として、今も多くのファンを魅了し続けています。