日本郵船(NYK)は、2026年3月期の業績見通しについて、連結純利益を下方修正する一方、営業利益を上方修正するという、相反する発表を行いました。これは、コンテナ船事業の苦戦と、自動車事業の予想を上回る好調という、事業部門ごとの状況が大きく影響しているためです。
連結純利益は下方修正、2400億円の見込み
日本郵船は、2026年3月期の連結純利益について、従来の2500億円から2400億円へと下方修正しました。これは、前期比で49.8%減という大幅な減少となります。この背景には、コンテナ船部門における米国の関税の影響が大きく、当初想定していた短期運賃の上昇が見込めない状況があります。
営業利益は上方修正、1400億円の見込み
一方、営業利益については、従来の1350億円から1400億円へと上方修正されました。これは、前期比で33.6%減となります。この上方修正の要因は、自動車事業の好調です。特に、第1四半期(4-6月)の業績が好調であり、通期の利益水準は期初の予想を上回る見込みです。ただし、自動車事業も今後は米国の関税の影響を受ける可能性があるとされています。
コンテナ船事業の苦戦
コンテナ船事業は、米国の関税の影響により、短期運賃の上昇が見込めず、利益予想を下回る見通しです。世界的な貿易量の減少や、コンテナ船の供給過剰なども、この苦戦の要因として考えられます。
自動車事業の好調
自動車事業は、第1四半期の好調を受けて、通期の利益水準が期初の予想を上回る見込みです。これは、自動車の需要が堅調であることや、日本郵船が効率的な輸送体制を構築していることなどが要因として挙げられます。
今後の見通し
日本郵船は、コンテナ船事業の苦戦を、自動車事業の好調でカバーする戦略をとっています。しかし、今後の米国の関税政策や、世界経済の動向によっては、業績に大きな影響が出る可能性もあります。今後の動向に注目が必要です。