フィリピン初の地下鉄、日本が技術と人材育成で支援
フィリピン初の地下鉄となるマニラ首都圏地下鉄事業(MMSP)が進行中です。このプロジェクトは、日本の円借款によって支えられており、首都圏の南北を結ぶ重要な交通インフラとなることが期待されています。
日本のノウハウを導入した鉄道員育成施設
MMSPの車両基地には、単なる車庫や検修施設にとどまらず、フィリピンの鉄道人材育成の拠点となる「鉄道訓練センター」が建設されています。この施設は、東京メトロの研修センターをモデルにしており、運転や駅業務だけでなく、電気・信号・土木など、鉄道オペレーションに必要なすべての技能を習得できる設備を備えています。
- 実寸大の運転シミュレーター
- 車両部品を用いた実践的なトレーニング
- 事故展示室(設置予定)
フィリピンでは今後10年間で約1万5000人の鉄道人材育成需要が発生すると予想されており、この施設がその担い手となることが期待されています。日本の支援によって鉄道を整備しても、維持管理ができなければ意味がありません。鉄道人材の育成は、フィリピンの鉄道事業の成功に不可欠な要素です。
背景には政治的な要因も
当初、前ドゥテルテ政権期間内の地下鉄開業が難しいことから、代替案として鉄道人材育成の研修施設を政権期間内に稼働させるという政治的な要因もありました。2017年には、当時の運輸大臣が東京メトロの研修センターを視察し、その重要性を認識したことが、このプロジェクトの推進力となりました。
インフレ率は目標範囲を下回り、利下げの余地も
フィリピン統計局が発表した6月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比1.4%と、前月の1.3%からやや加速しました。しかし、中央銀行の今年の目標レンジ(2.0─4.0%)を下回っており、景気支援に向けた追加利下げの余地があると考えられています。
特にコメ価格の下落がインフレ率の抑制に貢献しており、中央銀行は今後もインフレ率が目標レンジ下限未満で推移すると予測しています。