S&P500はバブルか?米利下げが招く株安リスク
米国株式市場は今年に入ってから最高値を何度も更新し、好調を維持しています。しかし、JPモルガン・チェースのトレーディングデスクは、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策が投資家の熱狂を冷ます可能性があると警告しています。
JPモルガンのアンドリュー・タイラー氏は、「現在の強気相場は、かつての支えが弱まる一方で新たな支援材料が形成され、その勢いが止まらないかに見える」と指摘。9月17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で市場の予想通り利下げが実施された場合、「投資家が持ち高を減らす『ニュースで売る』局面に転じる可能性がある」と述べています。
リスク要因はインフレ、雇用、貿易戦争
JPモルガンのトレーディングデスクは、インフレや雇用、貿易戦争など複数のリスク要因を指摘しつつ、強気な戦術的見通しを慎重に維持しています。また、個人投資家は9月に投資を控える傾向があり、自社株買いに動く企業が減少しているとも指摘しています。
9月は鬼門?過去のデータが示すS&P500の弱さ
過去のデータを見ると、S&P500は9月に下落する傾向があります。カーソン・グループの分析によると、1950年以降、9月にS&P500は平均で0.68%下落しており、過去75年間で唯一マイナスとなる月です。また、9月にS&P500がプラスのリターンを記録したのは全体の44%と、月別で最低にとどまっています。
ハイテク株は好調維持も、雇用統計の弱さが懸念材料
一方で、大型ハイテク銘柄は市場を牽引し、S&P500は史上最高値を更新しました。アルファベットの急騰やブロードコムのAI受注などが追い風となっています。しかし、8月の雇用統計が予想を下回ったことで、市場心理に重荷がのしかかっています。FRBによる利下げ期待が高まっていますが、今後の市場動向には注意が必要です。