リニア中央新幹線工事を巡り、静岡県で大きな動きがありました。
長年議論されてきたリニア中央新幹線の南アルプストンネル工事。静岡県は、水資源への影響を懸念し、JR東海との間で厳しい交渉を重ねてきました。川勝前知事の辞任後、鈴木知事の下で議論が進められ、JR東海も環境対策を強化することで合意に至りました。
しかし、着工済みの他県ではトラブルが続出。静岡県の慎重な姿勢が、他県への教訓となるかもしれません。
要対策土問題で県が見解一転
さらに、自然由来の重金属を含む土(要対策土)の処理を巡り、県はこれまでの方針を大きく転換。「盛土規制条例の適用除外になりうる」との見解を示しました。これは、JR東海が計画する藤島(静岡市葵区)への要対策土の配置を巡るもので、今後の議論の行方が注目されます。
背景には、国土交通省の見解があります。県は、リニア事業を認可した国の判断に基づいて、同一事業区域に関する判断を行うと説明。国土交通省の担当者は「国交相が認可した計画に基づく工事と理解して差し支えない」と回答しました。
今後は、JR東海が示す対策について改めて検討し、藤島での盛り土の可否について最終的な判断が下される予定です。
技術的な議論が焦点に
要対策土置き場の法的解釈は「あくまで可能性の話」としつつも、県は長期にわたって漏れ出ないような安全対策を求めています。専門部会では、要対策土に含まれる化学物質の量の予測や、複数の処理方法の利点と課題が示され、技術的な議論が活発に行われました。
- ヒ素を取り出して要対策土自体を減らす
- 盛り土を覆う二重の遮水シートだけでなく、シートと要対策土の間に粘土を入れる
これらの意見を踏まえ、県はJR東海に対し、短期的な対応だけでなく、長期にわたって安全な対策を講じるよう求めています。
リニア工事は、地域住民の生活や環境に大きな影響を与える可能性があります。今後の議論の推移を注視していく必要がありそうです。