指定校推薦の裏側:退学者が急増している衝撃の事実
近年、大学で指定校推薦入学者の退学者が増加傾向にあります。その背景には、文部科学省が推進する「多面的な選抜」と、大学側の事情が複雑に絡み合っているようです。一体なぜ、このような事態になっているのでしょうか。
推薦入試拡大の現状
文部科学省は、学力試験だけでは測れない能力を評価するため、「多面的な選抜」を推奨しています。しかし、現状の一般選抜は学力試験が中心であるため、大学側は推薦入試を拡大せざるを得ない状況です。さらに、大学側は年内にできるだけ多くの学生を確保したいという思惑もあり、推薦入試の割合は増加の一途を辿っています。
2024年度の入学者61万3453人のうち、総合型選抜での入学者は9万8520人、学校推薦型選抜では21万4549人となっています。メディアは「総合型選抜の拡大」を喧伝していますが、実際には指定校推薦が推薦入試の大部分を占めているのが現状です。
指定校推薦の仕組みと課題
指定校推薦は、大学と高校の信頼関係の上に成り立っています。高校側が校内選考を行い、自信を持って推薦できる生徒を送り込むことが前提であるため、大学側は基本的に不合格にしません。つまり、大学は選抜を高校に委ねていると言えます。
しかし、指定校推薦で入学した学生の中には、大学の授業についていけない、あるいは学習意欲を維持できないといった問題が生じ、結果的に退学を選択するケースが増加していると考えられます。特に、コロナ禍を経て、その傾向は顕著になっているようです。
年内学力入試導入の動き
このような状況を受け、一部の大学では年内学力入試を導入する動きが広がっています。これは、推薦入試においても一定の学力を担保することで、入学後のミスマッチを防ぐことを目的としています。神奈川大学では、総合型選抜に「年内学力入試」という新しい方式を導入し、国語と数学のどちらか1教科と英語の合計2教科の試験を行っています。
今後の展望
指定校推薦制度は、大学と高校の連携を深め、多様な人材を受け入れるための重要な制度です。しかし、退学者の増加という課題を解決するためには、大学側だけでなく、高校側も入学後のサポート体制を充実させる必要があります。また、学生自身も、入学後の学習計画をしっかりと立て、主体的に学ぶ姿勢を持つことが重要です。
年内学力入試の導入は、推薦入試のあり方を見直すきっかけとなるかもしれません。今後、大学入試はより多様化し、学生の個性や能力を多角的に評価する方向へと進んでいくことが期待されます。