大鵬薬品、デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬の開発に苦戦
大鵬薬品工業は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬として開発を進めていた「TAS-205」の国内臨床第3相試験(REACH-DMD)において、主要評価項目を達成できなかったと発表しました。この結果は、DMD患者とその家族にとって、期待を裏切るものとなりました。
この試験では、歩行可能なDMD患者を対象に、TAS-205の投与が、投与52週時の床からの立ち上がり時間にどのような影響を与えるかを評価しました。しかし、結果として、プラセボ群との間に有意な差は認められませんでした。
今後の開発方針は不透明
大鵬薬品は、治験を中止し、今後の開発については「回答を控える」としています。このことから、TAS-205の開発が中断される可能性も示唆されています。詳細な解析結果は今後、学術集会などで公表される予定です。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)とは
DMDは、筋肉細胞の骨組みを支えるタンパク質の遺伝子変異が原因の遺伝性疾患です。主に男児に発症し、筋力低下が進行していく難病です。日本には3000〜4000人の患者がいると推定されています。
- 原因: 遺伝子変異
- 症状: 筋力低下
- 好発: 男児
- 患者数: 日本で3000〜4000人と推定
中外製薬の遺伝子治療薬も治験中断
一方、中外製薬が開発を進めていたDMD遺伝子治療薬も、死亡事例を受けて国内での治験が中断されています。DMD治療薬の開発は、依然として困難な状況が続いています。
今回の治験結果は、DMD治療薬の開発がいかに困難であるかを改めて示しています。今後の研究開発に期待するとともに、患者とその家族への支援が不可欠です。