米株式市場は波乱の展開となりました。5日のニューヨーク株式市場で、ダウ工業株30種平均は大幅に反落し、前日比220ドル18セント安の4万5401ドル11セントで取引を終えました。一体何が起きたのでしょうか?
米雇用統計が市場に衝撃
今回のダウ平均急落の背景には、同日発表された8月の米雇用統計があります。非農業部門の雇用者数は前月比2万2000人増と、市場予想の7万5000人増を大きく下回る結果となりました。さらに、6月分の雇用者数は1万4000人増から1万3000人減に下方修正され、市場に衝撃を与えました。
失業率の上昇も懸念材料
8月の失業率は4.3%と、2021年10月以来の水準に上昇しました。この結果は、米労働市場の減速が一段と進んでいることを示唆しており、景気後退への懸念を強める要因となっています。
市場関係者の見方は?
シティグループは「労働需要の減速ペースは供給を上回る」と分析しています。雇用を巡る不透明感が強まれば、米経済を支える消費も減速するとの懸念が広がっています。ミラー・タバックのマシュー・マリー氏は「企業の収益も伸び悩みかねず、米株の割高感が広がるなかで売りを誘った」と指摘しています。
利下げ観測も一時高まる
取引開始直後はダウ平均が上昇し、最高値を更新する場面もありました。市場では、米連邦準備理事会(FRB)が9月に0.25%の利下げを決めるとの観測が根強い中、利下げ幅を0.5%にするとの見方も一部で浮上しました。連続利下げで年末までに0.75%下げる可能性も意識され、株買いを支える面もありましたが、雇用統計の結果を受け、売りが優勢となりました。
今後の見通しは?
米雇用統計の結果を受け、今後のFRBの金融政策や米景気の動向に注目が集まっています。投資家は、今後の経済指標やFRBの声明などを注視し、慎重な投資判断が求められるでしょう。
また、S&P500が最高値を更新するなど、他の指数は堅調な動きを見せています。市場全体の動向を見極める必要がありそうです。