いじめは「環境」の問題？荻上チキ氏が警鐘
夏休み明け、子どもたちの心に潜む不安…。友達関係の変化や学校生活へのストレスから、いじめが再燃・深刻化するケースも少なくありません。NPO法人「ストップいじめ！ナビ」代表で批評家の荻上チキ氏は、いじめを「心の問題」と片付ける風潮に異を唱え、「いじめは“環境の問題”であり、適切な対処で減らすことができる」と訴えます。
いじめ問題に取り組み始めたきっかけ
荻上氏自身も長年いじめを受け、学校に行かない選択や自死を考えるほど追い詰められた経験を持ちます。自身の体験から「できることがあるのではないか」と考え、いじめ問題に取り組み始めました。
大津いじめ自殺事件が転機に
2011年に起きた大津いじめ自殺事件は、荻上氏にとって大きな転機となりました。当時のメディア報道は、いじめの内容をセンセーショナルに伝えるばかりで、根本的な解決策が示されていませんでした。荻上氏は、いじめが発生しやすい環境要因や、効果的な介入方法について深く考えるようになったと言います。
いじめを減らすためにできること
荻上氏は、いじめを単なる個人の問題と捉えず、学校や家庭、地域社会全体の環境改善が不可欠だと指摘します。具体的には、以下の点が重要だと訴えます。
- 教職員への研修を充実させ、いじめに対する早期発見・対応能力を高める
- 子どもたちが安心して相談できる体制を整える
- 家庭と学校が連携し、子どもの変化に注意を払う
- 地域社会全体でいじめ問題に関心を持ち、サポート体制を構築する
いじめは、決して他人事ではありません。私たち一人ひとりが意識を変え、行動することで、いじめのない社会を実現できるはずです。