コソボ紛争から25年、人々の人生に何が?
NHKは、コソボ紛争から25年を機に、紛争によって人生を大きく変えられた人々を長期にわたって取材したドキュメンタリー「隣人たちの戦 ~コソボ “憎しみの通り”の25年~」を放送します。1990年代後半に旧ユーゴスラビアのコソボ自治州で発生したこの紛争は、多くの人々に深い傷跡を残しました。
紛争当時、独立を求めるアルバニア系住民とセルビア人政府との間で激しい民族紛争が勃発し、多数の犠牲者が出ました。番組が焦点を当てるのは、コソボにあるわずか150メートルの「ハイダルドゥシィ通り」。かつてアルバニア系住民とセルビア系住民が隣人として生活していた場所ですが、紛争は互いへの憎しみを生み、人々の運命を大きく変えました。
紛争の傷跡と未来への希望
番組では、紛争から逃れた人々が暮らす難民キャンプで働くアルバニア人青年の姿を追います。彼はセルビア兵によって従兄弟を虐殺され、コソボ解放軍の兵士として紛争に参戦しました。戦場で負った傷が原因で腎臓を患い、父親からの腎臓移植を受けましたが、再び移植が必要な状況にあります。家族は手術費用を捻出するために家を売り、必死に働いています。
一方、ハイダルドゥシィ通りで生まれ育ったセルビア人男性も登場します。紛争によって故郷を追われた彼は、今もなお故郷への帰還を夢見ています。番組は、紛争によって引き裂かれた人々の苦悩と、未来への希望を描き出します。
紛争の記憶を風化させないために
コソボ紛争から25年が経過しましたが、紛争の傷跡は今も深く残っています。このドキュメンタリーは、紛争の悲劇を風化させず、平和の尊さを改めて認識する機会となるでしょう。異なる民族が共存できる社会の実現に向けて、私たち一人ひとりが何ができるのかを考えるきっかけとなるはずです。