住友商事がマダガスカルで展開するニッケル鉱山事業「アンバトビー」が、ついに年産4万トンを超える見込みとなりました。2005年の出資以降、生産の不安定さや市況の悪化により多額の損失を計上してきた同事業ですが、電気自動車(EV)需要の拡大を背景に、ニッケルの需要が急増。住友商事は、このチャンスを最大限に活かすべく、生産体制の強化に取り組んでいます。
アンバトビー事業継続の意義
住友商事の片桐奈美・非鉄金属SBU長は、アンバトビー事業を継続する意義について、「ニッケルはEVの需要拡大で、各国政府が『クリティカルミネラル』と位置づけています。資源確保の重要性が高まる中、安定供給体制を確立することが不可欠です」と語ります。マダガスカルでのニッケル生産は、日本の資源戦略においても重要な役割を担うことになります。
苦難の20年を経て
住友商事がマダガスカルのニッケル事業に参画を決めてから20年。累計4000億円の損失を生んだ懸案事業でしたが、ようやく採算が取れる水準に達してきました。撤退を求める投資家の声もありましたが、住友商事は「自利と利他」の精神で、事業を継続。現地住民への雇用創出やインフラ整備など、地域社会への貢献も重視してきました。
- マダガスカルのニッケル鉱山「アンバトビー」
- 住友商事、年産4万トン超えを目指す
- EV需要拡大が追い風
首都アンタナナリボから車で東に約4時間。密林の中に突如現れるニッケル鉱山は、マダガスカルの経済を支える重要な拠点となっています。今後のアンバトビー事業の発展に、目が離せません。