ウクライナ情勢の影響で、ロシア発着便の遅延や欠航が相次いでいます。ドローン攻撃の脅威に加え、国際的な制裁による部品供給の滞りが深刻化し、ロシアの航空業界は大きな混乱に見舞われています。
ドローン攻撃による運航への影響
モスクワ周辺の空港では、ウクライナからのドローン攻撃を警戒し、旅客機の離発着がキャンセルや遅延となるケースが頻発しています。空港ロビーで待機する乗客からは、予定通りに目的地に到着できるか不安の声が上がっています。防空システムの誤射による撃墜の可能性を懸念する声も聞かれます。
部品供給不足による機材の維持困難
ロシアに対する経済制裁により、ボーイングやエアバスなど欧米製の航空機部品の輸入が厳しく制限されています。ロシアの航空会社は700機以上のボーイングおよびエアバス機を保有していますが、部品不足のため、機材の維持・運用が困難になっています。「共食い整備」と呼ばれる、稼働機から部品を取り外して別の機体に利用する手法も行われていますが、根本的な解決には至っていません。
国産機開発の遅延
部品の国産化も進められていますが、西側製部品への依存度が高いため、国産機の開発も遅れています。例えば、中・短距離ジェット旅客機「イルクートMS-21」は、当初2016年に納入予定でしたが、制裁の影響で未だに納入されていません。国産化への全面移行には長い年月がかかると見られています。
旅行者への影響
日本や欧米諸国の航空会社はロシアとの直行便を停止しているため、日本へ帰国するには中東や中国での乗り換えが必要です。モスクワ発の便が遅延した場合、乗り換えができなくなる可能性があり、旅行日程に大きな影響を与える可能性があります。ロシアへの渡航を予定している方は、最新の運航状況を確認し、時間に余裕を持った計画を立てることをお勧めします。
今後の見通し
ロシアの航空業界は、今後も厳しい状況が続くと予想されます。ドローン攻撃のリスク、部品供給の制約、国産機開発の遅延など、多くの課題を抱えています。これらの課題を克服し、安定した航空輸送を維持できるかどうかが、今後の注目点となります。